― 住まいと仕事を、分けすぎなかった理由 ―
独立を考えたとき、最初に悩んだのは「建物」ではありませんでした。
・本当にやっていけるのか
・家族の暮らしは守れるのか
・仕事と生活の境目を、どうつくるのか
お店を持つことよりも、その後の人生のほうが、ずっと重たかった。この建物は、「成功した結果」ではなく、無理なく続けるための“前提”としてつくられています。
ご相談のきっかけは、「いつかは独立したい」という思いでした。ただ、勢いで踏み出せるほど、現実は単純ではありません。
・店舗を借りるべきか
・自宅とは切り離すべきか
・ローンはどう考えるべきか
・もし続かなかったらどうするのか
他社では、「店舗付きなら、こういう間取りが多いです」そんな“前例”の話が先に出てきました。でも施主様が知りたかったのは、「このやり方で、人生が回るのか」ということでした。
ここで私たちがしたのは、「店舗をどうつくるか」ではありません。
・店舗と住まいを完全に切り離さない選択
・仕事を辞めても住宅として成立する構成
・家族の生活リズムを壊さない動線
・将来、用途が変わることを前提にした余白
「成功したらどうするか」ではなく、「続けられなかったときにも破綻しないか」その視点で、間取りも、規模も、コストも、一つずつ整理していきました。急がせなかったのは、この建物が“覚悟を背負う器”になると分かっていたからです。
ここで、ようやく形になった住まいをご覧ください。

独立のための建物でありながら、暮らしの一部として、静かに街に馴染む外観です。

現在は美容室として使用していますが、用途を一つに固定しない前提で空間を整えています。

仕事のための家ではなく、家族の暮らしが無理なく回ることを最優先に設計しました。

住まいと仕事は、完全に切り離さず、気配が分かる距離感でつないでいます。
独立は、勢いよりも、続けられるかどうか。
住まいと仕事をどう重ねるかは、人生全体の設計でもあります。
まだ形になっていない段階から、整理することができます。